日本の滝百選に選出されている不動の滝。八幡平市の中心部から秋田県方面へ向かったところで流れ落ちています。滝の入り口には巨大な朱色の鳥居がそびえており、まるでこの奥へと人々を誘っているかのような感覚にさえなります。この鳥居の奥へと進んで行くと桜松神社という神社があり、その神社の最奥部にこの不動の滝が鎮座しています。

その昔老夫婦が水を汲みにこの場所を訪れた際に、滝のところに生えている松の木に桜の花が咲いている不思議な光景を目にしたと言います。それを不思議に思った老夫婦は滝の方へと近づいてみると川底に美しい姫の姿が目につき、その時におおじいさんは力強く流れ落ちる滝の姿に、弱き人の心を断ち、仏法を守護し、災いから人々を守ると言われている強き不動明王の姿を、おばあさんは流れ落ちる白糸のような美しい滝に白糸の旗を織る姫の姿を思い浮かべたとされ、その後不動明王と瀬織津姫を祀ったと言われています。

最初に見た松の木に桜の花が咲いていたという不思議な風景から「桜松神社（さくらまつじんじゃ）」と命名され、かつて修験者の道場と言われるこの場所には今もなお、その頃の雰囲気が漂っています。

かなり以前のテレビコマーシャルになりますが、JR東日本のいくぜ東北シリーズの中でこの不動の滝が撮影地として選ばれたことがありました。コマーシャルの中で女優の松岡茉優さんが男優さんに向かって「縁結びの木だって」というセリフでこの木が映し出された後に滝本体の目の前にある赤い橋から滝を眺めるという感じのコマーシャルでした。

縁結びの木は不動の滝へと続く最初の石鳥居をくぐってからわずか数分歩き、滝へ向かってゆく途中右側にあります。まるで仲良く寄り添って手を繋いでいるかのように見えるこの立ち姿はまさに縁結びの木の名に恥じない姿ではないでしょうか。大切なご家族、ご友人、恋人、ご夫婦との縁を。また時には人間関係に疲れた時に訪れてみるのも良いかもしれません。

自然の絶景を見に行こうと考えた時に、どうしても一筋縄でいかない場所にあったり、歩いて数時間かかる場所だったりすることが多く、間近で見てみたいとは思っていてもなかなか簡単に行けない場所だったということが多いのではないでしょうか。

しかしこの不動の滝はある程度整備された道を歩き始めてから約１０分。険しいところもそれほどなく意外と簡単に辿り着ける場所にあります。さらにさらに、滝の流れ落ちる様をわずか１メートルくらいの距離から見られるところもあり、夏場などに水飛沫を浴びながら見る滝もまた良いものです。

金運、開運などのパワースポットとしても知られている場所ですので，ぜひ八幡平市を訪れた際には立ち寄りたい場所のひとつだと思います。